表裏一体で見渡す

2022/08/27 (土)

青森から水戸に引っ越した時,冬の青空の多さに驚いたことは以前ここにも書きました.
その時,「表日本」という言い方は天気の良さも表していて,日本海側は灰色の曇り空が「裏日本」のイメージを深めているとも感じました.
でも,それぞれ住んでいる人にとってはそれが普通のことですから,天気で日本列島の「表」と「裏」を意識することは少ないかもしれません.
「表裏一体」とは言っても,こんな風に片面だけをながめてしまいがちです.

明るい表が目立っている時は,裏が隠れていることに気づきにくくなります.
裏の暗さに思い悩んでいる時は,そこに表も備わっていることを感じられなくなっています.
治療も同じで,薬にしても手術にしても,表の「作用や効果」ばかりではなく,裏の「副作用や合併症」も一体となって伴っています.
ただ,コインのように表と裏が同じ面積ではありません.
表が広くて.裏が狭いからこそ,治療として役立てられています.
痛み止めは飲み過ぎると胃が悪くなる,ワクチンは熱がでるけど免疫力がつく,手術は怖いけど病気の悪化を防げる…
表,あるいは裏ばかりに目を奪われることなく,表裏を一体としてながめるようにしていれば,どちらの面が現れてきても,戸惑うことが少なくなると思っています.

ところで,「メビウスの輪」を覚えていますか.
紙テープの端を表裏逆にしてつないだものですが,鉛筆でなぞると行き止まりがないので,無限のマークとしても使われています.
そんなメビウスの輪をなぞるように,治療の選択も,人柄の評価も,儲け話の損得も,表裏一体で見渡して両面で判断するように日頃から心がけています.