入ったら起承転結

2022/11/25 (金)

前回,相手の「耳の門」を開くことの大切さをお伝えしました.
でも,うまく門を通り抜けられても,それでオッケーとは限りません.
伝えたいことをわかってもらうには,話す順序も大事です.
そのコツは,よくご存知の四文字熟語=「起承転結」です.

伝えるべきことで話を起動し,承諾のためのメリットを伝え.敢えてデメリットも話して視点を転回し,改めて言いたいことを結論づける…

たとえば,私が専門としている「顔面神経痛」の説明を当てはめてみると,
起「病気を治すには手術をお勧めします」
承「なぜなら,頭の中で曲がった血管が神経を圧迫しているからです」
転「ただし,体に傷が付きますし仕事も休まなくてはいけません」
結「それでも,今の苦しみを和らげるには最善の方法ですから,協力して治療していきましょう!」
こんな風に,起承転結の枠組みを診療現場で活用しています.

ただ,「起」はともかく「承」まで順調に進めても,気を抜くと手間取ってしまうのが「転」の部分です.
ここであれこれ伝えすぎたり,あるいは言い足りなかったりするとかえって逆効果になります.
不安な気持ちに寄り添いながら,心配なことも落ち着いて理解してもらえるように説明する.
そして最後に,「結」を自信の笑顔で締めくくることで,明るい目標を抱いてもらう.
そんな展開を心がけながら,「耳の門」の中での話し方を工夫しています.

ところで,起承転結って言葉は,最初が「始」じゃなくて「起」なところが絶妙だと思ってます.
話というのは,ただ「始める」のではなく,相手を「起こす」ことがスタートなんですね.