打たせて取る

2022/06/28 (火)

それほど野球を見ませんが,大リーグでの日本人の活躍は誇りを感じさせてくれますし,プロ野球での28年振りの完全試合もピッチャーの強心臓ぶりに感心します.
ただ,そんな勝者の美談を聞くと,その時の敗者はどんな心境なんだろうとちょっと同情しちゃいます.
「あまりに凄くて負けてもすがすがしい」なんてセリフが出ても,きっとそれは本心ではなくて,プロなんですからプライドもズタズタで,もう忘れてもらいたいと思っているかもしれません.
そういう意味でも.剛速球でねじ伏せられるより,いわゆる「打たせてとる」投球に競り負けた方が,健闘をたたえ合いやすいんじゃないかと想像してます.

診察も,ある程度診断の目処が立つと,予測される病状や今後の治療をこちらのペースで説明しまくりたくなることがあります.
でも,そんなスピード任せの直球勝負みたいな話し方だと,打つ方は見逃し三振を重ねるように意気消沈してしまうでしょう.
例えば.おおよそ大丈夫なことを先に伝える,時々質問をうながす,関心がありそうな世間話も持ち出す…
相手が打ちやすいような言葉のボールを投げてあげれば,バットを振る元気もでるでしょうし,返って来た打球をうまくキャッチすることで次の説明にも進みやすくなると思っています.

診察を試合に例えるのは不適切かもしれませんが,相手が得意なコースを察して「打たせてとる」,そんな言葉のヒット&キャッチを大事にしています.
何と言っても,「診察」は「診る+察する」ですから…