第10条:身だしなみで損しない

2025/06/30 (月)

いよいよ最後の第10条ですが,実は第1条より先に準備が必要なコミュ術です.
なぜなら「第一条:名乗る」でスタートを切る前に,相手はすでにこちらの様子をうかがっています.
「体についての心配事を相談するのに,どんな風に聞いてもらえるだろう…」
そんな不安を抱きながら目にした姿が,ボサボサだったりダボダボだったりしたら,ますます気持ちがゆらいでしまうでしょう.
かと言って飾りすぎたり,めかし込んだりするのも行き過ぎで,かえって怪しく思われるかもしれません.
特別な工夫は必要なくて,”普通”と思われるような過不足のない身だしなみが抵抗感を生じさせないために大事です.
もちろん,白衣や術衣を着ていれば医療のシンボルにもなって便利ですが,そこで安心していてはダメで,髪とか爪とか靴とか,服に隠せない部分にも気配りは欠かせません.

身だしなみなんてうるさい話だと思えますが,第一印象というのはその後のコミュニケーションに大きく影響しますので,そこで損してしまっては回復に大きな労力を要します.
人は丁寧に対応してほしいと願っているものですし,宝石店で店員が白い布手袋を着用するのは,商品のためだけでなく,来客への心遣いでもあります.
特に,体や気持ちが弱っている状態であれば,ますます丁寧な対応が望ましいでしょうし,そのためには身だしなみでも思いやりを示してあげることが元気づけるための第一歩になると感じています.

ここまで,はた流コミュ術として10個のルールを紹介してきました.
医療現場でのコミュニケーションがなるべく和やかで穏やかに交わされることで,体も気持ちもますます回復が早まるように願っています.